原作は、平庫ワカによるコミック。WEBコミック誌「COMIC BRIDGE」に連載中から、爆発的反響を呼び、2021年文化庁主催のメディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞しています。
脚本・監督タナダ・ユキ、主演は永野芽郁、上映時間85分。
プレス資料の要約を書き写せば「鬱屈した日々を送るOL・シイノトモヨ(永野芽郁)、はテレビのニュースで親友・イカガワマリコが亡くなったことを知る。突然の出来事にうろたえるシイノだが、自分が出来ることを考えた末、マリコの遺骨を強奪して逃亡。彼女の遺骨を抱いて旅にでる―。」というところからストーリーが始まります。
映画全編を貫くエモーションの強度と疾走感が圧倒的!
85分間、脚本、演出、撮影すべてが素晴らしくハイクオリティ!
まずは今年屈指の傑作であることは間違いないと声を大にして申し上げておきたいです!



キャストもみんな素晴らしい。
主演の永野芽郁はもちろん、マリコ役の奈緒、窪田正孝、吉田羊、それぞれに重要で感動的な見せ場を担って、忘れられない存在感を示します。


特に、なんといっても女優・永野芽郁!
今年の秋も、国内外で、数えきれないほどの映画が公開され、数多の女優さんが妍を競い、素晴らしい演技を披露されることでしょう。しかし、おそらく世界的に観ても、この秋この作品の永野芽郁を超える女優は登場しないのでは。そんなことすら想起されるほど、この作品での彼女は凄いです。
今この時この作品での永野芽郁を見逃してはいけません。
ストーリーや作品に込められたメッセージは、観客それぞれが観て、感じて、楽しんでいただければいいのですが、この映画の見方をひとつだけ申し上げるならば、できれば映画館へは一人で行って頂きたい。一人で観ていただきたいと思っています。
映画にはいろいろあって、何人かで観た方が楽しい、面白い映画と、絶対一人で観た方が感動する映画というのがあります。たとえば(例として適切かどうかわかりませんが)、高倉健の「やくざ映画」はみんなで観て盛り上がりましたが、菅原文太の「実録やくざ路線」は一人で観るべき映画群でした。まちがいなく。
この物語で、シイノトモヨはたった一人で「世界」と闘っています。最初から最後まで、一人で闘います。今は亡き親友マリコの遺骨とともに。さらにいえば、シイノと心触れ合う役柄の窪田正孝や吉田羊もそれぞれが、たった一人で自分を取り巻く世界と闘っています。
メッセージらしきことを言うならば「一人で闘う人にこそ友ができる」。
だから、どうぞ一人で観てください。
最近は無駄に上映時間の長い映画が多く、30~40分はカットできるやろとか思うこともたびたびあるのですが、85分という上映時間は、この映画の内実と不可分の関係にある、素敵な上映時間だと思います。まず無駄が無い。脚本と編集のレベルが高くなる。
比較的上映時間の短い作品が多かった、ゴダールやブレッソンやマキノ正博の作品群との親近性もどことなく感じたりします。とくに、ブレッソンの「少女ムシェット」や「やさしい女」とは作品内容的にも通底するものがあるように思います。
いずれにしても、この秋の目玉作品の一つです。
ぜひ劇場で、一人でご覧ください!
○そのざき あきお(毎日新聞大阪開発 エグゼクティブアドバイザー)
●上映情報
9月30日(金)よりTOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSほか 全国ロードショー
https://happinet-phantom.com/mariko/
なお、冒頭の写真のコピーライツは©2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
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